解任・重慶前トップ拘束 妻の収賄など、完全失脚
【北京=矢板明夫】中国共産党中央に重慶市トップの党委員会書記の職を解任されていた薄煕来氏(62)が19日までに、党中央規律検査委員会に身柄拘束され、妻の汚職問題などで取り調べを受けていることが分かった。複数の共産党筋が明らかにした。次世代指導者の一人と目され、今秋の党大会で最高指導部入りが有力だった薄氏は、胡錦濤総書記(国家主席)派と政治路線で対立、権力闘争に敗北し、完全に失脚した。今後、刑事責任を問われる可能性も出てきた。
共産党筋によれば、薄氏は全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に出席した後、北京で党中央規律検査委員会の幹部に、実質上の身柄拘束となる「双規」を通告された。「双規」とは「規定の時間・場所で、疑いのある問題に関して説明を求める」という党内部の規則に基づく措置だ。
共産党筋によると、薄氏が説明を求められているのは、収賄や職務怠慢など4項目という。まず、弁護士事務所を開業している薄夫人にからむ汚職の疑い。また、薄氏の部下で今年2月、米総領事館に駆け込み、拘束・解任された重慶市前副市長、王立軍氏(52)の監督責任も問われているという。薄氏の身柄が近く北京以外の地方都市に移され、本格的な取り調べに入るとの情報もある。
胡錦濤時代以降、「双規」の手続きを取られた党高官の大半が起訴され、懲役刑以上の判決を受けているが、元文化省次官、于幼軍氏のように刑事責任を問われなかったケースもある。
薄一波元副首相を父に持つ薄氏は、次期総書記とされる習近平副主席と同様、元高級幹部子弟で構成する「太子党」の中心人物。胡総書記率いる共産主義青年団(共青団)派と対立する保守派とされてきた。
米総領事館駆け込み事件 重慶市トップの薄煕来党委書記の側近として暴力団一掃運動を仕切った王立軍副市長が2月2日、兼務していた公安局長を解任され、6日に四川省成都の米総領事館を秘密裏に訪問。7日に総領事館を離れた後、国家安全省幹部らに北京に連行され、取り調べを受けているとされる。
王氏に関しては昨年末から、経済問題で党中央規律検査委員会の調査対象になっているとの噂が流れていた。身の危険を感じた王氏が米国に保護を求め、政治亡命を申請したともいわれている。
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